新人研修合宿 オリエンテーリング(7) 汗拭き


 突然タオルの上から股間を触られて早苗はビクッと体を震わせた。

 順子の指先は中心部から少し外れていたが、それが逆にもどかしげな官能をもたらした。自分の体が不覚にも反応したことに、早苗は言いようもない戸惑いを覚えた。

「どうしたの早苗ちゃん?ちゃんと汗を拭きたいから動かないで欲しいんだけど」
「は、はい。すみません・・お願いします」

 再び順子がタオルの上から股間に指を這わせた。早苗の顔に緊張の色が浮かび上がる。広がりかけた官能を理性で押さえ込もうと気を張り詰めた。

 吉田と中島は、早苗が示す性反応を見逃すまいと、黙って事の成り行きを見つめていた。黒坂は早苗の顔と股間が同時に入るアングルを見定めて、冷静にビデオカメラをまわしている。

 順子の指先は、長い遠回りの末に、肝心の部分へと到達した。タオルは汗ばんだ素肌に半ば張り付き、局部の凹凸や形状をぼんやりと浮かび上がらせている。その縦方向の窪みに沿って人差し指を何度も往復させると、早苗の表情がみるみる気色ばんでいった。

「・・アンッ・・くぅっ・・」

 早苗は持続的に電気刺激を受けているような感覚に陥り、思わず喘ぎ声をもらした。

 その瞬間、早苗は大急ぎで我に返った。一瞬とはいえ快感に悶える姿を人前で晒してしまった・・。あまりの恥ずかしさに、消え入りたい気持ちになった。

「もう、動かないでって言ってるのに!汗が拭きづらいんだってば。続けるわよ?いいわね?それとも何か問題ある?」
「はい・・あ、いえ、あの・・」

 早苗はしどろもどろだった。喘ぎ声をもらしたことについて順子は触れて来ない。皆の前で揶揄されると恐れていたのだが、拍子抜けした気持ちだった。

(聞こえなかったのかな・・自分で思ったより小さな声だったのかも・・)

 そのように一人合点し、早苗は何とかプライドを保とうとした。

 第一、ここで「問題がある」と言い出しても「どんな問題があるの?」と訊き返されるのがオチだ。まさか「陰部を刺激されて快感を感じてしまう」などと屈辱的な告白をするわけにはいかない。結局、何も言わずに我慢するしかないのだ。

「あの・・大丈夫です」
「あらそう。じゃあ続けるわね」

 早苗が出した答えに、順子はあっさりと頷いた。そして再び、早苗の敏感な部分を指で丹念になぞり始める。

 愛撫に耐える早苗を眼下に見はるかして、順子は密かにせせら笑った。
(あーあ、早苗ちゃんって単純ねえ。こっちの思う壺に簡単にはまってくれるんだもん)

 もちろん順子が早苗の喘ぎ声に触れなかったのは策略に過ぎない。早苗が自ら快感を認めてしまったら、これ以上の羞恥刑がご破算になりかねないからだ。あくまでも早苗には、快感に耐え忍ぶ痴態を演じ続けてもらわねばならない・・。

 順子は指先の動きを早めた。

 陰部の窪みを念入りになぞり続けると、固い蕾がだんだんとほぐれ、未だ誰にも開かれたことのない秘肉が湿り気を帯びていくのが分かった。

 耐えているつもりでも、早苗の体が官能に翻弄されているのは明白だった。苦悶の表情の中には、あどけない悦びが二重写しに浮かんでいる。危ういせめぎ合いの中で、早苗の呼吸が徐々に荒くなっていった。

(もう一押しね・・そろそろ行きますか)

 順子はジャージのポケットを探り、ピンク色の小さな装置を取り出した。リモコンタイプのローターだった。準備にぬかりはないのだ。

 スイッチをオンにして陰部の溝に軽く押し当てると、早苗の腰は陸揚げされた魚のように激しくのたうった。

「・・!!・・なっ、何ですかこれ・・くぅっ!・・」

 指先での愛撫とは明らかに違う刺激だった。持続的な振動が肉襞の一枚一枚にまで浸透して、官能を掻き立ててくる。今までとは比較にならない物狂おしさが押し寄せてきた。

「何って、汗拭きしてるだけよ。自動汗拭きマシーンってとこかな。さっき早苗ちゃん、大丈夫って言ったわよね?あれは嘘だったの?これぐらいでイチイチ文句言わないで欲しいんだけど」
「で、でも、これは・・」
「はいはい、続けるわよ」

 早苗の抗議を聞き流して、順子はローターを秘裂により強く押し当てた。言葉にならない呻き声を洩らし、早苗はまた体を波打たせた。順子はそのまま、秘裂に沿ってゆっくりとローターを往復させ始めた。

 もはや早苗は声を立てることも出来ず、強制開脚させられた生白い両脚を、イヤイヤするようにもがくのが精一杯だった。もちろんその両脚はガッチリ固定されており身動きなど出来ない。与えられる刺激を甘受する以外にないのだ。

 やがてタオルの中心部が粘液質に濡れそぼち始めた。

 最初、微かに湿る程度だった染みは、陰部の形状をハッキリかたどるほどタオルに広く滲み出していった。衆人環視の中でとめどなく蜜が分泌される様は淫靡そのものだった。

 その光景を順子は優越感に満ちた面持ちで見ていた。だがもちろん、まだ終わらせる気はない。ローターを一層強く秘裂に押し付けると、おもむろに人差し指で陰核の辺りを軽く爪弾いた。

「・・ンンッ!・・」

 早苗が洩らした喘ぎ声は、理性を素通りした肉体そのものの反応だった。もどかしく積み上げられた官能の堆積が、陰核への一撃で崩れ落ちて来たのだ。一瞬、太ももの筋がこわばり、腰が小刻みに震えた。電気のような衝撃が早苗の体を走り抜けた。

 間髪おかず、順子はタオルの下に両手を潜り込ませた。

 順子の指先は、たっぷりと蜜を含んだ秘肉を直接に探り当てた。その無防備に開ききった場所にローターをあてがい、念入りに刺激を与えた後、柔らかい襞の奥へとローターを沈めていった。

「・・ヒッ!・・ンッ!・・」

 深々と沈み込んだローターの振動に、早苗は言葉にもならない獣じみた喘ぎを洩らした。つい数分前までの聡明な女性の雰囲気は影も形もなくなっている。

 順子はさらに、右手の中指を第2間接まで遠慮なく秘裂に差し入れて、内側から膣壁を刺激し始めた。左手では陰核を強くしごくように何度も摘み上げる。あまりにも容赦のない責め立て方だった。

 早苗にはもはや理性を取り戻す余裕などなくなっていた。

 内と外から連続して与えられる刺激で頭は痺れ切り、浅ましい姿を晒している羞恥心すらどこかに消し飛んでいた。愛らしい口元は半開き状態で、金魚のように酸素を求めて開閉している。

 早苗の全身はこの上もなく紅潮し、一刻の猶予もない地点へと追い詰められていった。間近に迫った瞬間を見逃すまいと、吉田も中島も黒坂も固唾を飲んで見守る。

 そして遂に、最後の声が搾り出すように発せられた。

「ンンッ!・・アア・・アンッ!・・」

 その途端、早苗の紅潮した全身がビクッビクッと何度も震え、下腹部がグラインドするように前後した。快感に全身をあずけるような凄絶な姿だった。自ら快楽に浸って腰をくねらせる様は、普段の清楚さから想像もつかなかった。

 早苗の頭の中は真っ白に消し飛び、何が起きているのかすら把握できない。口の端から涎が垂れ落ちるのも気づいていなかった。生まれて初めて達した絶頂の瞬間だった。

 吉田と中島は興奮を抑え切れず、この光景を目に焼き付けていた。会社では高嶺の花に等しい谷村早苗が、人前で絶対に見せるはずのない痴態を余すところなく晒し尽くしたのだ。これ以上の興奮はないだろう。

 同様に黒坂も興奮していたが、カメラマンとしての職務も忘れていない。すなわち、早苗の痴態の一部始終をビデオカメラに収め、今もまた、気を失って脱力している早苗を執拗に映し続けていた。

 だが一人順子だけは、満足気ではあるものの、どこか醒めた目を早苗に向けていた。それは早苗の羞恥ショーがまだ終わりではないことを告げていた。

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