新人研修合宿 オリエンテーリング(4) 準備運動


 それから10分ほどが経過した。

 川岸に佇んでいる順子が、巨大岩の方を振り返って大声で呼びかけた。

「ちょっと、早苗ちゃん!まだ着替え終わらないの!?」
「い、いえ、もう着替えました・・」
「じゃあ早くこっち来てよ!」

 順子に催促された早苗は、恐る恐る巨大岩の裏側から姿を現した。その姿を遠目にした黒坂は「おおっ」と歓声を上げ、1年生の吉田と中島もキャッチボールの手を止めて目を釘付けにした。

 早苗が身に纏っているのは、真っ白なテニスウェアだった。上下つながったワンピースタイプで、袖が付いていないため肩まで露出している。いわゆるノースリーブである。二の腕はもちろん、少し油断をすれば脇の下まで丸見えだろう。ワンピースの裾は股下ギリギリまでしか無く、真っ白な太ももが完全に露出していた。

 体にフィットするスポーツウェアのため、スタイルの良さも一目瞭然だった。大胆に盛り上がった胸元は、はちきれんばかりに服を押し上げている。生地が薄いためにブラジャーの線も透けて見えた。ブラジャーの色はライトブルーで、白い服を着れば透けてしまうのが当然の色だった。服のサイズも早苗の体よりワンサイズは小さいだろう。

 皆からのあからさまな好奇の視線を受けて早苗は恥ずかしそうに俯いている。
「あらー、動きやすそうな恰好になったじゃない。さあ早くこっちこっち」
 順子が楽しそうに笑い、早苗を手招きした。
「はい・・」
 早苗はテニスウェアの裾をしっかり押さえながら順子たちの方へ近づいて行った。

 その時、順子たちの脇に長い棒が立っていることに早苗は気づいた。棒にはロープが結ばれていて、すぐ近くの樹木へ伸びている。ロープから吊り下げられているのは、早苗が先ほどまで身につけていたジャージと下着類に違いなかった。まるで見世物のように飾られている。

「こ、これ、私の・・!」
「ああ、洗ったから干してあるのよ。今日は天気がいいからすぐ乾くわ。ま、乾かなくてもその服を着てればいいしね」
「で、でも・・せめてもう少し人目に付かない場所に・・」
「ここが一番日当たりがいいのよ。ずっと乾かない方が困るでしょ?」

 そもそも勝手に服を洗濯されたことに抗議したかったが、現実としてそうなってしまった以上、一刻も早くジャージを乾かしたいのも事実だった。さもなければこの露出過多のテニスウェアをずっと着ていなければならない。自分の下着を見世物のように晒されるのは屈辱だが、ここで言い争ってもどうにもならない。早苗は諦めざるを得なかった。

「早速、準備体操から始めましょうか?」

 順子は悪びれもせず、1年生の3人を並ばせた。一番前に順子と黒坂が立ち、それと向き合う形で早苗が一人で立つ。早苗の後ろに吉田と中島が隣同士に並ぶ。早苗以外の4人が四角形を作り、その中に早苗が囲まれるような陣形だった。

 始まったのは簡単なストレッチだった。腕を回したり背伸びをしたり、黒坂が手本を見せた通りに1年生3人が真似るだけだ。

 だが予想通り、少しの動きでも早苗の豊満な胸は上下左右に大胆に揺れ動き、正面に立つ黒坂の目を愉しませた。黒坂の熱い視線に気づきながらも、早苗は羞恥心を押し殺してストレッチを続けた。

 やがて黒坂は直立したまま前屈の姿勢を取った。
「足は曲げないように、腕を地面につけてー」
 最後列の吉田と中島がうめき声を上げながら前屈をした。

 しかし早苗だけは躊躇して軽く胴を曲げるに留まった。なにしろ直立姿勢ですら股下ギリギリまでしか隠れていないのだ。もし足を伸ばしたまま前屈すれば、背後の吉田と中島からは下着が丸見えになってしまうだろう。

「ちょっと早苗ちゃん、真面目にやりなさいよ!」
 すぐさま順子が叱り飛ばした。早苗は懇願するような目で順子を見つめた。
「すみません・・でも・・」
「準備運動をしっかりやらないと後で怪我するわよ?あなたのワガママで怪我をされたら、監督責任者として私や黒坂くんも迷惑するの。分かる?」

 順子の言い分はしごく真っ当なため、早苗に反論の余地はなかった。
「はい、早苗ちゃんだけもう一度!」
 号令されて、早苗は嫌々ながら前屈の姿勢を取った。生白い脚を小刻みに震わせ前のめりになると、ワンピースの裾が徐々にせり上がっていった。

「おおっ」
 背後の吉田と中島が揃って歓声を上げた。スカートに隠れていた部分がついに姿を現したのだ。しかしそれは、2人の予想を大胆に裏切るものだった。

「え?これって・・Tバック?しかも紐パン?」
「うわー早苗ちゃんってこういう趣味なんだ?」

 2人の1年生が口走った通り、早苗が履いていたのは、両端をリボンで結ぶデザインの紐パンだった。しかも後背部は、か細い紐が交差するだけのTバックである。染み一つない生尻が羞恥に染まりながら剥き出しになっていた。

 順子から渡された紙袋にはこの下着しか入っていなかったのだ。今までTバックや紐パンなど身につけたこともない早苗は、この下着を履くことに随分と躊躇を覚えた。だがノーパンで皆の面前に現れることなど出来ない以上、この破廉恥な下着を身につけざるを得なかった。

「い、イヤ、見ないで・・」
 あまりの恥ずかしさに早苗は顔を真っ赤に火照らせた。

 そこへ黒坂が追い討ちをかける。
「これから10数えるから、前屈の姿勢はキープすること。すぐ戻したらストレッチにならないからね。もし10秒間我慢できなかったら何度でもやり直しするよ」
 言うなり黒坂が「イーチ、ニーイ」とカウントを始めた。

 早苗はあられもない姿を晒したままじっと耐えるしかなかった。黒坂のカウントが進むにつれ、白い双丘の割れ目をか細い紐が徐々に深く犯していく。食い込みがキツくなるほど、尻肉はみずみずしい張りを増していった。Tバックの紐は少し幅を広げて股下を通り、前方へとつながっている。その薄い布地にぷっくりとした秘部はかろうじて覆われている。布地に縦方向の割れ目が浮き上がっている様子が明瞭に見て取れた。

 いつもハキハキと明るい優等生社員の谷村早苗が、白昼堂々と尻と股間を突き出してあまりに無防備な姿を晒している・・そう思うと堪らなくエロティックな光景だった。

「・・キューウ、ジューウ、はい終わり」
 黒坂が数え終えたので、早苗はドッと力が抜けてその場にしゃがみこんだ。慌ててスカートの前後を押さえ込む。その恥じらい方がいかにもウブで、見ている者の嗜虐心を余計にくすぐった。

 順子はさっさと次の指示を行なった。
「次は、えーと、倒立にしましょうか。一人が逆立ちをして、残りの二人が足を支えること。これは1分間キープにしましょう。もちろん出来るまで何度でもやり直すわよ」

 まだ息も絶え絶えにしゃがみこんでいる早苗をよそに、吉田と中島がそそくさと二人で倒立を始めた。各々が滞りなく自分の順番を終えていき、早くも残るは早苗だけとなった。

「吉田くんも中島くんもテキパキしてていいわね。それに較べて早苗ちゃんはボーっと座ったまま、全然やる気が感じられないんだけど。あ、そうだ、早苗ちゃんにはペナルティとしてキープ時間を追加しようかしら?吉田くんと中島くんの手伝いをしなかった分として2分追加で、合計3分間の倒立キープ。いいわね?」
 一方的に言い渡され早苗は呆然となった。

 吉田も中島も、早苗が立ち上がるのを待たずにさっさと始めてしまったのだ。すぐ立ち上がらなかった早苗にも非があるとはいえ、一方的にペナルティを課されるのは理不尽としか思えない。早苗は助けを求めて吉田と中島を振り返ったが、二人ともそ知らぬ顔だった。

「いつまでボーっとしてるの、早苗ちゃん!早く始めてもらえないかな?あなたがノロノロしてるといつまで経っても準備運動が終わらないんだけど?」
「すみません、でも・・」
「吉田くんも中島くんもあなたの倒立なんて手伝いたくもないのにずっと待ってくれてるのよ?ほら、ちゃんと頭を下げて『倒立をしたいので補助してください』ってお願いしなさい?」

 キツイ口調で順子に睨まれて早苗は逃げ場を失った。不本意な気持ちをぐっと堪えて、吉田と中島に向けて頭を下げる。

「・・あ、あの・・吉田くん、中島くん・・倒立をしたいので補助を・・足を支えてもらえますか・・お願いします」

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